お名前: そんし
テーマが暗いのも、主役女優のイメージが暗いのも、どちらも今の心境では観たくなかったので、明るそうな映画がないかなと考え、まあまあそうな「ハッピーフライト」を観てきました。
頭空っぽで観られるナンセンス映画を期待していたのですが、予想は良い方向に外れて、思った以上に緊張の連続で、最後まで飽きさせない映画でした。
飛行場で働くそれぞれの職業紹介という、航空会社のPRみたいな映画をイメージしていたのですが、飛行事故というショッキングな展開がメインストーリーにあって、日本の企業は、ああいう映画撮影には、非協力的だったのに、時代が変わったんだろうなと、ちょっとしたインパクトがありました。
現場の仕事にプライドを持って働く人の姿を生き生きと映し出している監督の手腕は、好感が持てました。「桜の園」以来、この矢口監督は目の離せない監督でしたが、まあ監督の手腕ひとつで、ナンセンス映画でも、ここまで質の良い映画に化けるものなんですね。
たぶん細かなところにも手を抜かない、きめの細かさが、好感を持てる最大の理由だと思います。あらい展開だと、「あれは結局どうなっちゃったの」というフラストレーションがあとにのこるので、それが気になって、せっかくの大作が貧相に見えてしまう事が多いのですが、この監督の映画の場合は、その逆で、ストーリーは貧弱なのに、丁寧に作り込んでいるため、見終わったあとが心地よく、質の良い映画に感じてしまう。そこがこの監督の良さだと思いますね。
今の世相もちゃんと取り入れていて面白かったです。
わたしはトレッキングが趣味なので、週末になると各地の野山を歩いていますが、そこで、たくさんの中高年が、若い頃の憧れだった望遠レンズ付きの一眼レフを手に、子供のような笑顔で撮影している光景に出会います。
その多くが撮影した写真の発表の場として、ブログを利用しています。趣味なら、発表してたくさんの人に観てもらいたいのが心情ですからね。
この映画でも、立派なカメラで、航空機を撮影する中高年がでてきて、ほほえましい光景になっていました。でもこういう何気ないシーンも、やがてストーリー展開の重要ポイントとして取り込まれていくのですから、作りの丁寧さに感心します。
昼行灯のような上司が、最先端技術が役に立たなくなって若い社員が戸惑っていたとき、突如てきぱきと指示を出し始め、培ったカンとアナログの道具で、危機を乗り越える格好の良さは、各年代層にくまなく映画を観て欲しいと願う監督の意気込みが感じられました。
なかなか後味の良い映画だと思います。いつも辛口の感想ばかり書いている私が、ベタホメしてしまいましたが、元々はナンセンス映画ですので、お間違えないよう。
そんし
[2008年12月09日10時49分]
|
|