テーマ:映画】アンナ・カレーニナ

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お名前: そんし
文豪の作品の映画化なので、とてもじゃないけれどストーリーの評価は無理ですが、作品のできそのものは、かなり不満が残るものの、素材がいいのでかなり満足度の高い映画でした。

舞台で演じられるアンナ・カレーニナを意識してのことなのでしょうけれど、舞台芝居と現実が交錯したような構成になっており、どこかミュージカル映画のようであり、全く違うという、最初から最後までちょっと違和感を引きずったままになる映画でした。ああいう手法は冒頭の数カットだけにしておいたほうが良かったですね。

こういう作品は出来るだけオーソドックスに作った方がいいと思うのですが、それでは作品の重さに監督以下の映画人が押しつぶされて消えてしまうことを、強く拒絶しようともがいているような作品でした。

ロシアのトレチャコフ美術館に「忘れえぬ人」の絵画があり、この美術館の絵画展が4年ほど前に都内で行われたときに、この絵をどうしても観たくてでかけた覚えがあります。
いまも私の部屋にはその時に購入したポスターが額に入れて飾ってあります。

この絵のモデルはアンナ・カレーニナを想像させるといわれており、実際に私が初めてこの絵を知った時は、迷い無く、おおアンナ・カレーニナだ、とつぶやいたのでした。

町の中を通り過ぎる馬車の上から、濃紺のドレスをまとった気高い貴婦人が、通りを歩く何者かに冷たい視線を向けているという風な絵です。

私にはこの絵の女性の視線の先には、一段低いところを歩く肉体労働者階級の青年が連想されます。それを幌をオープンにした馬車の上から一瞥して、いままさにすれ違おうとする瞬間にまで、うつろな視線を向け続けているように感じるのです。それは、身分階級の低い青年に対するさげすみと、肉体美の青年に対する興味と、心の奥に隠れた激しい女の感情が一瞬に現れたような絵です。

実際本物の絵の前に立つと、自分がその対象の男になったようで、男なら、一度は気高い女性から、このような上から視線を向けられてみたいと、つい思ってしまうような素敵な絵です。

今回の映画も、この絵画をアンナ・カレーニナのモデルとして意識しているらしい、よく似た格好をするシーンがありました。

大作のショートカットですから、消化不良になるかも知れませんが、原作はわかりにくいこの作品を、かなりわかりやすく作り上げたという好感は持てます。

もっともアンナ・カレーニナは、難しくてよく理解できないというイメージは、わたしがこの直訳本を読んだのが、屈折した恋愛などとても理解できるはずのない年齢だった中学生の頃だったからなのですが。

「えっ、なんで死ぬの?」が、この作品の唯一の読後感想だったのを可笑しく思い出します。

まあ観て損はない作品だと思います。

そんし

[2013年05月12日07時38分]
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